「看護師不足」について考えてみた!by 看護大学3年生

「看護師不足」について考えてみた!by 看護大学3年生

~就職安泰?看護師が余る!?~

看護学生記者:北里大学 看護学部 3年生 清水えりな

筑波大学 看護学部 3年生 藤原怜峰

(記事投稿協力:看護団体ION

・看護師が不足している?

看護学校が毎年のように新設され、また就職が容易で手堅い資格職として看護職は近年高い人気をもつ。その背景には高齢化の進行による医療職の需要拡大と、全国の病院のうち7割以上が感じている臨床現場での看護師不足が原因であろう。

今日はそんな看護師不足について改めて考えてみよう。

とはいうものの、看護協会が今度の診療報酬改定に5対1加算の創設を要望したとか、そういう数年単位という目先の話ではなく30年、40年といった長期的な目線でとらえてみたい。

・看護職員の需要と供給の現状「全国的には足りているはず?」

まず、看護師が不足しているといわれる現状について見てみたい。2015年度の就業している看護職員(看護師・准看護師・保健師・助産師)の総数は約163万人で、前年度から3万人ほど増えている。また厚生労働省が作成した第七次看護職員需給見通しによると2015年度の看護職員の需要は約165万人と推計されており、実人員数との差は1%未満である。これを見る限りでは看護師の不足はほぼほぼ起こっていないように見える。

またこの見通しでは2025年までの長期的な見通しを出しており、それによると2025年度の需要は約184万~192万人(常勤換算)である。これを見る限りでも今の増加数(3万人/年)を維持できれば看護師不足は数の上では断言できないことになる。

しかしこの需給見通し、第七回以前にも6回の見通しが出ており、その度に需要は上方修正されてきている。また第七次が出てから既に7年が経過しており、現在の医療現場の看護職需要を正確に反映しているとは言えない可能性もある。

以上を踏まえ、現状での看護師不足の有無についてははっきりしたことは言えないというのが、なんとも後味が悪いが、結論ではなかろうか。

 

  • 看護師の不足は斑模様だった!

しかし少し視点を変え、看護職の地域偏在について考えてみるとどうだろうか。まず、都道府県ごとの人口当たり看護師数を見てみよう。

これを見ると全体的に都市部では看護職員数が少なく、地方では看護職員数が多い傾向にある。ただしもちろん、看護職員が多い地域では高齢化率も高く、医療ニーズが人口に比して高いということも考えられる。

以上から、看護職員の地域偏在は実際に起きているが、不足の有無についてまでははっきりと言及できないといえる。

看護師不足のこれから

  • 看護師が余る未来が来る

さて、看護師不足があるかどうか結局わからないままここまで来てしまったが、ここからが今日の本題、これからの看護師不足である。

結論から言うと、これからを長い目で見た場合にはまず地域によって不足するところ・過剰になるところが分かれる時期がやってきて、その後は全国的に過剰となるだろう。僕らが現役世代のうちに看護師が余る時代を迎えるのだ。

看護師が不足する時期について、2025年問題という言葉があるが、これがまさにそうだ。団塊の世代といわれる人口のボリュームゾーンが後期高齢者となり医療ニーズが急に増大する。そして何より先ほど出てきた看護職員の地域偏在が大きな問題となって現れるのだ。

  • 団塊の世代も地域偏在

そもそも団塊の世代とはどんな人たちだろうか。彼らは1947年~1950年に各地で生まれ、都市部へと出てきた人たちだ。団塊の世代の約半数は東京、中京、阪神の3大都市圏に住んでいる。これらの地域は先ほどの看護職員が少ない地域と重複する。また彼らは就学や就職のために都市部へ出てきて定着したという背景から近くに親族がおらず核家族化が進行している現在では家族やコミュニティによる有効な支援を受けづらいことが考えられ、都市部における彼らの福祉サービスの需要は量と質の両面でこれまで以上に高まるだろう。

対して先の三大都市圏以外ではすでに人口減少が始まっており、しかもそれは地域外への人口流出ではなく死亡数が出生数を上回る自然減なのだ。地方においてはすでに高齢化は進み切り、多死社会を迎えている。つまり高齢者の医療ニーズはこれから減っていくと考えられる。

こうして都市部と地方で不足と過剰が明確に分かれるのが2025年までのことだろう。

そしてそれ以降は、地方で起きていたことが都市部でも起こりだす。それに看護学校の数は変わらないから、看護師の数も増え続ける。こうして考えると多死社会を迎えるといわれる2035年以降は確実に看護師が余る時代になるだろう。

・ただの看護師は「余り」になる

僕らを待っているのは、どこにでも就職できる安定した未来だけでなく、その後やってくる供給過多とそれによる就職難という先の未来もあるのだ。

今すぐに何かしなければならない。ということはないが、今後は専門や認定看護師、地域におけるコミュニティの要としての役割を担う、あるいは研究職等、看護師としての個性を身に着けていくことが求められるだろう。

 

 

参考文献

日本病院会 平成23年度病院の人材確保・養成に関するアンケート調査結果報告

厚生労働省 第七次看護職員需給見通しに関する検討会報告書

厚生労働省 看護職員需給分科会資料

日本看護協会 平成28年度看護関係統計資料集

総務省 人口推計(平成28年10月1日現在)

ハイライフ研究所 団塊世代の地域分布とその生活スタイル

国土交通省 団塊世代の今後の居住と活動

 

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