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看護部長・教育担当者に聞き込み調査してきました!
この記事のレポーターは?
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看護学生レポーター:神戸大学医学部保健学科看護学専攻 3年生 もーたん
3回生のもーたんです。広島県は電車も通らない自然いっぱいの世羅出身。自他共に認めるファミリーコンプレックス。周囲に流されず、独自の価値観と信念を持って経験を積み、分厚いだし巻き玉子のような大人の女性になるのが目標です!現在は、就活☆ラボの学生ライター兼代表をやりつつ社会勉強と自分の将来について考えています。
市立川西病院 (写真左)看護部長 恩田 朋子 様 (写真右)看護部次長・教育担当 橋本 優子 様
Q.新人研修では具体的にどのようなことをされているのですか?
新人の心理面へのサポートが大切

橋本様:新人看護師に対して当院のシステムから看護知識、技術が習得できるように、30を超える研修を企画しています。特に新人に人気のある研修は、 シミュレーション研修!
実際の場面を想定して、重症患者やいろんな疾患の患者さんがいる大部屋に観察にいく シミュレーションを行います。
例えば、夜勤時に吐血した患者さんがいた場合にどう対応するか?をシミュレーションしたりします。
シミュレーション研修は教育担当者がリアリティを出して患者を演じます。
先輩ナースも毎年演技力がついていくんです!(笑)
現場に即した内容を楽しみながら研修に取り組んでます。
研修は、知識や技術面の教育だけでなく同期が顔を合わせる機会の1つでもあり、「新人の心理面へのサポート」面にも大きな役割を果たしているので、「研修は大切な時間」だと思っています。
もーたん:先輩が患者役ですと、とても緊張してしまいそうです。。。学校の授業の演習で先生がシミュレーションするのを想い出しました(笑)

新人時代の不安や悩みを共有できる場づくり
橋本様:新人看護師には30以上の研修が計画されているのですが、1コマが1時間程の研修もあるので割とあっという間ですね。研修は、新人時代の不安や悩みを共有できる機会でもあるんです。「みんなで1年間いっしょにがんばろう!」という研修にしています。
もーたん:プリセプター制度を採用されているということですが、プリセプターが休みのときは、どうなるんでしょうか?
橋本様:プリセプターの計画にそって代理の者が指導にあたります。その日その日で指導者を決めるようにしていますので、新人さんが独りぼっちになる心配はありません。
もーたん:プリセプター制度では先輩との相性がすべて決めてしまうという噂を聞いたりもしますがどうなんでしょうか?
恩田看護部長:プリセプター制度は相性が悪い人と1年べったり嫌いな人とはペアでつきたくないですよね?新人のリアリティショックを小さくする意味があるのと、3年経験のあるプリセプターにも成長してもらう意味があります。仮に相性が悪い時には、先輩はたくさんいるので相性が悪いときは相談できるよ!ということも伝えていますが、プリセプターもみんな頑張っているので、変更は聞いたことがないですね。

Q.看護部の特徴と魅力はどんなところですか?
看護職員はみんな明るくて素直!新人ナースにもやりがいを。
恩田看護部長:看護職員はみんな明るくて素直、魅力は真面目で勉強家、一生懸命に取り組んでやり遂げる力があります。またチームの一致団結もあり前向きに取り組んでいます。

もーたん:新人ナースの方から「退院支援」に熱心だという話がありましたが、何か特別な取り組みをされているのでしょうか?
恩田看護部長:退院支援については、診療報酬の改定に伴い、在宅支援にも急性期病院としてできる限り力を入れています。また、「継続看護委員会」があり、退院支援や在宅療養が必要な患者さんの支援を行っています。患者さんを入院から退院、その後の療養について地域医療連携室と一緒に検討しています。患者さんのためにしっかりと時間をとって、今までの経歴を知り、退院されたときまでのことを見据えた支援をするように教育においても重視しています。
他職種とのカンファレンスを密に行うことで、地域医療支援病院としての役割を果たそうと頑張っています。毎日患者さんのご家族と話し合ったり、若い看護師さんにも積極的に取り組んでもらっています。
その他にも褥瘡対策チーム、感染対策チームなどもあり、呼吸ケアチーム、NSTなどチーム医療の一環として、退院支援もチームで看護部が積極的に取り組んでいて、やりがいを感じてもらっているのかもしれませんね。
チームの重要性。1人の意見じゃなくて、いろんな職種の意見を聞くこと。
橋本様:目の前の患者さんの今の状況だけを見るのでなく、患者さんを全人的にとらえましょう。
今までの患者さんの経歴があって、今があって、ここを終わって終わりでなく、患者さんは在宅などへ帰っていく!そこまでが支援だよね!ということを強く伝えています。
ですので、その「継続」という言葉が出たり、今だけでなく、その前後を考えるのが大事と感じてくれているのだと思います。
その為には、カンファレンスを実施して、1人の意見じゃなくて、いろんな職種の意見を聞くことによって自分もすごく学びになるなとか適切なケアができたと実感することにより、カンファレンスすることが、患者さんにとってよかったと感じてもらえる。
忙しくても、みんなカンファレンスの重要性を感じてもらえているのではないかと思います。
もーたん:スタッフのみなさんに看護部長、教育担当のお気持ちがスタッフにも浸透しているのはとても素晴らしいことだと感じました。
橋本様:1年目も2年目のスタッフも「もっと患者さんのベッドサイドに行く時間がほしい。。」とみんな言っています。患者さんに寄り添いたいとみんな頑張ってくれているのは嬉しいことです。
恩田看護部長:今の時代、在院日数が2週間もない中で、地域に高齢者をお返しするのがテーマになっているので、そこが潤滑にいかないと急性期病院としては患者さんを受入れられません。当院もしっかり取り組んでいきたいところです。
Q.職場環境や、教育制度の特徴はいかがですか?
「看護」の本質は変わらない
恩田看護部長:川西市は、都会にも近いですが、日本一の里山と呼ばれるくらい自然も多い環境でとてもよいところです。反面、病院のハード面は、築30年で古くなってきており動線などは最新ではありませんが、「人」のチーム力で補っています。
いつの時代も「看護」の本質は変わらないんです。
またこの地域は、川西市だけでなく、能勢町、豊能町、猪名川町などの地域の急性期病院の医療を担っています。
ワークライフバランスへの取り組み
恩田看護部長:職場の中では、目標管理による成果発表会を行ったり、ワークライフバランスへの取り組みを積極的に考え、同じ病棟の中でも2交代、3交代の勤務形態も選択できる制度を整えたりしています。また産休や育休に入る職員のために、職場復帰支援として、「患者支援センター」という部署を作り、患者さんの入退院支援を看護師が相談に応じる職場を作り、時短勤務の方や早く職場復帰したい看護師さんに人気です。
こんな看護師さんに来てもらいたい!
もーたん:新人ナースのみなさんから「先輩と話がしやすい」「チームワークがいい」というお声が多かったのですが、気持ちの良い職場を作るために何か工夫されていることや、こんな看護師さんに来てもらいたい!という採用基準はありますか?
恩田看護部長:教育風土がしっかりしていて、スタッフは優しく、みんなで新人を育てていく風土があります。採用したいと思う看護職を考える時、明るく、優しく、素直な人に来てもらいたい。仕事ができてテキパキしてる人がいいとは思いますが、それよりも、明るく、優しく、素直な人がいいと考えています。
「頑張りと感謝」の「見える化」が「やさしさ」の「連鎖」をつくる。
橋本様:フィッシュ哲学というのをご存知ですか?
少し前にフィッシュ哲学が流行った時期があり、興味がありその取り組みを取り入れたりしてきました。私はこの病院一筋で30年間働いてるので、他の病院のことは知らないのですが、私が入職する前から、人を大切に育てる風土がこの病院にはあったと感じています。
また、今年の取り組みで看護部通信というのをはじめて、看護部の様々な取り組みを紹介しています。
当院には1年目の看護師だけじゃなくて、10年、20年と勤務しているベテランスタッフまでひとりひとりが頑張っているスタッフが多くいます。でもそれがなかなか病院全体に伝わらなくて、ここの部門はこんな看護研究しているよ!とか、ここの委員会はこんな取り組みをしているよ!とか、ひとりひとりの頑張りを見える化する取り組みを行っています。
あとは、誕生日に仕事するのって辛いですよね??
ですので、誕生日に勤務しているスタッフにはお互いにお祝いのメッセージを伝えています。また、プリセプターからプリセプティへの手紙を準備して、面と向かっては言えない「励ましの気持ちを伝える場」を作るようにしています。
その成果か分かりませんが、1年後プリセプティからプリセプターへお返しに、感謝の手紙を書いたりする声も聞いています。
Q.看護師の配属先の特徴があれば教えていただけますか?

恩田看護部長:234床の病院で急性期をしているので、大病院のように1病棟が専門単科の病院ではありません。
主に内科疾患が中心で、消化器内科、血液内科、呼吸器内科などがあり、少しづつ専門特化はしていますが幅広く見ることができるのが中小病院の特徴で、広く経験を積みながら、患者さんに寄り添う看護ができるのがいいところです。
産婦人科、小児科など母性の分野から、終末期の緩和ケアまで
橋本様:他に産婦人科、小児科など母性の分野から、終末期の緩和ケアまであるのも特徴です。最近は、産婦人科のある病院も少ない中、助産師になりたいという学生も多いようですね。また、緩和ケアにも人気があるので「誕生」から「終末期」まで幅広く勉強したい人には当院はとても良い環境ですね。
もーたん:看護学生にとっては、「緩和ケア」は人気があり、看護の魅力を感じやすいところだと思います。学校の授業でビデオなどを見ると学生のみんなも目がキラキラしてます(笑)
Q.新人ナースにどんな看護師になってもらいたいですか
恩田看護部長:1番は優しさです。患者さんを好きと思えれば、人にやさしくなれると思います。
本音では、「良く気が付く看護師」になってほしい(笑)患者様やご家族にとって、最適な治療を受ける援助や気持ちがわかる、痛みが分かるなど気持ちも含めて「優しく」て「良く気が付く」看護師になってほしいですね。
もーたん:先輩にやさしくしていただくと、きっと後輩にも優しくなれるんだと思います。
恩田看護部長:現場は戦場ですけどね(笑)
新人はやっぱり怒られると怒られたことしか覚えてないでしょう?
教え方はとても難しいんですが、怒っても覚えるわけではないので、最後は、「優しさ」で「優しさ」が返ってくるものですね。
橋本様:卒業して3年すると新人時代のことを忘れてしまうので、ついつい怒ってしまいがち。
なので、「あなたが新人のころどうだった?」とか振り返ってもらいながら、プリセプターとして指導者になるために、ティーチングやコーチングの研修も行っています。けれども、それをやったからといってすぐにできることではないと思います。
やっぱり先輩に優しくされた経験があると、後輩にも優しくするんではないでしょうか。
もーたん:私もできれば優しくされたいです(笑)
恩田看護部長:学生の内から看護職という仕事は人の命を扱うので厳しく指導うけた方がいいのかな~(笑)
お二人の本音が笑顔でポロッと出た瞬間

Q.これからの看護師に「求められる能力」は何だと思いますか?
どんな時代でも「看護に大切なこと」
恩田看護部長:広い意味では、政治経済や社会の流れを知る力が必要です。その他、看護だけに限らず知識技術、ワークライフバランスなど色々な意味でバランスの取れた人材が必要になるのかと思います。
でも、本質としては、「優しさ」というのがどんな時代でも「看護に大切なこと」だと思います。これからの時代は大変だと思いますが、看護部長としては、「辞めずに(笑)」仕事を続けること。
「助けてほしい」と言える力がとても大事

橋本様:私はコミュニケーション能力が大事だと思います。「人が何を言おうとしているか?」というのを「聴く力」が必要。そして、「相手に伝える力」。
今は、メールやLINEなどSNSの普及で伝える能力が落ちている気がしています。言葉が足りないために問題が起こってしまうことが実際にあります。
あとSOS!自分ではどうしょうもない時に「助けてほしい」と言える力がとても大事です。
Q.新人でコミュニケーション能力が不足してると思うことがありますか?
橋本様:よくあります。「あっちはこう言っている」「向こうはこう言っている」という話の仲裁に入ると、本当はお互いのことを想って言っていることが、伝える力が弱いために誤解が起こったりしています。
そしてよく話を聞くと、新人スタッフもとても良いことを深く考えたりしてるので、「そんないいこと考えてたの?それを実現しようよ!」という声かけをしています。
恩田看護部長:その時代、その時代の「いまどき」があるので、いつの時代も同じですね。川西病院は川西病院のカラーにどう人材を育てていくかが大事だと考えています。
Q.【看護学生へメッセージ】をお願いします!
恩田看護部長:わたしたちができることは、看護師の生涯のキャリアを支援すること。
働き方も多様化しているのが当たり前になっています。認定看護師も6名おり、スペシャリストになりたい!もいいし、ジェネラリストとして活躍するのもいいです!当院はどちらも対応できるので、みなさんの支援をできる環境があります。
若いスタッフもいて、20代で結婚する人も多いので、ワークライフバランスを考えて、残業を少なくし、産休育休に入ったスタッフが復職しやすくできるように、「患者支援センター」という部署を確立したり、出産や結婚でキャリアを「あきらめず」に「つないで」いける環境を作っていきたいと考えています。
「ワークライフバランス=子育て支援」というイメージがありますが、そうではなくて、ひとりひとりの人が望む働き方を支援していく職場でありたいと考えています。
みなさん!就職するしない関係なしに病院見学ついでに、一度川西に遊びにきてくださいね!
看護学生レポーター:もーたんの感想
病院の良い風土が受け継がれ、それをみんなで盛り立てていくことができるような環境が整った病院と感じました。設備が十分でない中、どうすれば患者さんやスタッフのためになるのか?を考え、工夫して考案された「患者支援センター」や職場の「見える化」を進めるための看護部通信、プリセプターとプリセプティの手紙交換など、院内の取り組みの隅々に「優しさ」が垣間見られました。地域の急性期病院の役割を果たしつつ、退院後の患者さんの生活を大切にした看護が提供されているのだろうなあと思いました。看護師自身が優しくされていないと患者さんにも職員にも優しくできないのではないでしょうか?優しくしてもらったから、私も優しくしよう、優しさの連鎖がこの市立川西病院には根付いているのだと強く感じました!
恩田看護部長、教育担当の橋本次長、お忙しい中本当にありがとうございました!お二方の新人ナース、そして病院への思いが感じられるインタビューとなりました。
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